アレルギー

2012年6月29日 (金)

ランセット②

こんにちはケンノシンです。

今回は、次回の続き、サルミネン教授とイソラウリ教授の研究チームの研究を紹介します。

まずは、家族にアトピー発症歴(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息)がいる妊婦さん132人を2つのグループに分け、片方のグループには出産の2~4週間前からLGG菌の入ったカプセルを摂取してもらい、出産後も6ヶ月間LGG菌を飲んでもらいます。
ここで、出産後、人工乳で赤ちゃんを育てる場合は、LGG菌を水に溶かして赤ちゃんにも摂取させます。

もう片方のグループにはLGG菌が入っていないカプセルを摂取してもらいます。

この試験後、生まれた赤ちゃんが2歳になったときにアトピー性皮膚炎の発症率はどうなったか・・・・

LGG菌を食べていないグループでの発症率は46%
LGG菌を食べたグループでの発症率は23%

LGG菌を食べたことによって、アトピー性皮膚炎発症率が半減するという結果となりました。

見事、仮説どおり、赤ちゃんに乳酸菌で刺激することによるアレルギー予防が明らかになった実験となりました。

さらに、この赤ちゃんの追跡調査を実施したところ、4歳、7歳まで成長しても、アレルギーの発症を抑えていることがわかりました!
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この論文は「Lancet(ランセット)」という医学会では権威ある雑誌に掲載され、LGG菌が世界で注目を浴びました。

つづく

2012年6月26日 (火)

ランセット①

こんにちはケンノシンです。

「衛生仮説」と「免疫」と「アレルギー」について長々と説明してきました。
ここでやっとブログの主役である「LGG菌」が登場します。

2001年にアレルギー性疾患である「アトピー性皮膚炎」の予防の研究の一環として、フィンランドのツルク大の研究チームが非常に画期的な実験を世界で初めて実施しました。

この研究チームのセポ・サルミネン教授とイソラウリ教授はこの実験に至るまで、LGG菌を使用したアレルギー性疾患の治療や予防に関する可能性を発表していました。

①「衛生仮説」の考えからすると、幼少期に綺麗な環境で菌の刺激がないならば、なるべく早い段階で菌に触れさせればいいのでは!?

②赤ちゃんはお母さんの腸内環境を受け継ぐことが知られているため、妊娠中にお母さんの腸内環境をよく保てば、赤ちゃんの腸内環境が正常に働くのでは!?

このようなことが考えられると思います。
次回、実験の内容についてお話しします。

つづく

2012年6月 6日 (水)

綺麗すぎるとアレルギー!?⑤

こんにちはケンノシンです。

 

前回はT細胞のバランス(Th1細胞とTh2細胞)が拮抗していることが大事であることをお話しました。

今回はT細胞のバランスはどのようにして成り立っているのか!?

 

実は、生まれて間もない赤ちゃんはこのバランスが崩れており、Th2細胞が活性化している状態になっています。ここから、腸内細菌叢が形成されたり、外気からの微生物と触れ合うことにより、Th1細胞が刺激され、Th1細胞が活性化します。これによりTh1細胞とTh2細胞が拮抗し、バランスが取れてきます。

 

このような免疫システムが明らかになってくることで、「衛生仮説」の考えが注目されてきました。

 

環境が綺麗になりすぎると、小さい子供から微生物などからの刺激を受けないので、免疫システムが異常になり、アレルギー症状が増加してくると考えられるんです。

やっとつながりましたね。

 

ただし、この仮説の考え方は一説ですので、アレルギーの全ての原因ではないのでご注意を。

 

つづく

 

2012年5月25日 (金)

綺麗すぎるとアレルギー!?④

こんにちはケンノシンです。

前回のつづきです。

綺麗すぎるとアレルギー!?①
https://lgg-samurai.blogat.jp/lgg/2012/04/post-dbf2.html

綺麗すぎるとアレルギー!?②
https://lgg-samurai.blogat.jp/lgg/2012/04/post-d9af.html

綺麗すぎるとアレルギー!?③
https://lgg-samurai.blogat.jp/lgg/2012/05/post-2eb8.html


免疫システムの司令塔であるT細胞はTh1細胞とTh2細胞の2種類があり、お互いに拮抗しながら体を守っています。

ここで重要なのはお互いのT細胞の力がバランスよく拮抗しているのが重要なのです。

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もし、どちらかの細胞が強く働きすぎると、体を守るシステムなのに、体に異常反応が起こります。
この異常反応のなかでもTh2細胞が強く働きすぎると免疫の異常反応であるアレルギー症状が出ると考えられています。

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前回に出てきましたが、Th2細胞は間接的に侵入者を倒す弓矢隊や鉄砲隊に指令を出します。
このTh2細胞が強く働くと、矢や鉄砲の弾が過剰に放たれます。この矢や鉄砲の弾にあたるのが「IgE」です。

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トヨエモンのブログでも(https://lgg-samurai.blogat.jp/lgg/2012/03/post-40a2.html )出てきましたね。
このIgEの過剰生産がアレルギーの原因の一つと考えられています。
通常では、大事な体の防御反応を示すTh2細胞ですが、強く働きすぎると、IgEが過剰に生産されて、アレルギー症状が出るのです。

簡単に言えば、Th2細胞が強く働かないようにするか、Th1細胞を強く働かせることにより、アレルギー症状を改善できる可能性があると考えられています。

本当は複雑に絡み合っている免疫ですが、代表的なものを今回は説明しました。

つづく





2012年5月11日 (金)

綺麗すぎるとアレルギー!?③

こんにちはケンノシンです。

前回、「衛生仮説」についてお話しました。
環境が綺麗すぎるとアレルギーになりやすいという仮説です。

綺麗すぎるとアレルギー!?①
https://lgg-samurai.blogat.jp/lgg/2012/04/post-dbf2.html

綺麗すぎるとアレルギー!?②
https://lgg-samurai.blogat.jp/lgg/2012/04/post-d9af.html

ではなんで綺麗すぎるといけないのか!?
ここから免疫システムとの関わりが重要になってきます。

免疫システムは非常に複雑なネットワークになっていて、我々の体を守っています。
この免疫システムのバランスが崩れると生体内での異常反応がおこりアレルギー反応が起こります。

バランスが崩れるということですが何のバランスが重要なのか・・・これは免疫細胞の一つである「T細胞」のバランスが重要であると言われています。

T細胞の中には「Th1細胞」と「Th2細胞」という2種類があります。
両細胞とも免疫システムの司令塔のように働き、ほかの免疫細胞へ指令を出しています。
Th1細胞は侵入者に直接働きかける免疫細胞に指令を出し、Th2細胞は侵入者に間接的に攻撃する免疫細胞に指令を出します。

例えるなら・・

Th1細胞は攻め込んできた敵軍(侵入者)を直接、肉弾戦で倒す足軽隊や槍隊に攻撃指令を出します。
一方、Th2細胞は攻め込んできた敵軍(侵入者)を間接的に遠くから狙撃する弓矢隊や鉄砲隊に攻撃指令を出します。(あくまで個人的な想像です・・・)

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このように2つのT細胞は二段構えで侵入者に対抗し、体を守っているのです。

つづく

2012年4月13日 (金)

綺麗すぎるとアレルギー!?②

こんにちはケンノシンです。

アレルギーの原因の一つとして「衛生仮説」についてお話しました。
(https://lgg-samurai.blogat.jp/lgg/2012/04/post-dbf2.html )

この衛生仮説が発表されてから、関連した報告がいくつも出てきました。

農家で家畜や動物を飼っている家で生まれた子供は、普段から動物と触れ合っておりアレルギーになりにくいことも報告されています。
なんだか不思議な話しですね。

ほかにも、一人っ子よりも兄弟がいたほうがアレルギーになりにくい、なんてことを報告している人たちもいます。

そして、免疫のシステムが明らかになるにつれて、「衛生仮説」とアレルギーの関係性が注目を浴びるようになります。

前置きが長くなり、だんだん話しがややこしくなってきました・・・。
本当に免疫やアレルギーの話しは複雑なのです。

次回はこの「衛生仮説」がどう免疫と関係してくるのかお話しします。

つづく

2012年4月11日 (水)

綺麗すぎるとアレルギー!?①

こんにちはケンノシンです。
花粉症はどうでしょうか?
まだまだつらい時期が続きますね。

さて、トヨエモンが花粉症についてブログにて書いていましたが、
花粉症はアレルギーの一種で免疫反応が過剰に反応していることについて触れていました。
図が入ってとてもわかりやすいですね。

今回は、この「アレルギー」は何でなるのか?お話したいと思います。

アレルギーは現代病ともいわれるくらい多くの人が何かしらのアレルギーをもっています。私も小さいころハウスダストのアレルギーだったので、部屋の中で走り回るとすぐに眼がかゆくなり、くしゃみも止まらなくなるという、つらかった思い出があります。

ある研究者がアレルギーに関して調査をしたところ、日本やアメリカといった先進国が、発展途上国に比べてアレルギーにかかっている人が多いということがわかりました。
これは、先進国の都会であるほど大きく違いが現れていました。
何が違うのか見てみると、食べるもの、住んでいる環境いろいろありますが、共通していることは、先進国は全てが綺麗すぎるということです。

今の日本の都会では何かを食べようと思ったら、お店に行けば綺麗なものが売っています。

また、住んでいる環境も綺麗です。日本の水は世界の先進国と比較しても綺麗ですし、すんでいる家やトイレも昔に比べれば衛生的です。
また遊び場も、昔のように小さい子供が泥だらけで遊んでいる風景を見ることも少なくなってきています。

つまり、生活の中でさまざまな環境が向上し綺麗になると、環境に存在する細菌や微生物に触れる機会がなくなっているということになります。
これを「衛生仮説」といい、現代の綺麗な環境がアレルギーの原因の一つと発表しました。
綺麗な環境の方がいいと思いますが、綺麗すぎるとヒトに悪影響を与えているようです。なかなか難しいですね。

しかし、アレルギーは免疫の異常反応ということは今でこそわかっていることですが、「衛生仮説」が発表された1980年代初めは免疫についてあまりにもわかってないことが多く、この「衛生仮説」はまったく注目されませんでした。

つづく

2012年4月 5日 (木)

過ぎたるは及ばざるが如し!!(花粉症)

こんにちは。
トヨエモンです。

前回の花粉シーズン突入!!の際に描いたイラストの中で
同僚から「マスト細胞が悪そう!!」などのご意見を頂きました。
マスト細胞も体の免疫機能には欠かせない存在なので、決して悪者ではありません。
アレルギーという異常な状態を表現したかったと解釈して頂ければ幸いです(^^;)。

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      こんな風に悪そうに描かれて
      しまったマスト細胞・・・

さてマスト細胞ですが、別名「肥満細胞」とも呼ばれています。
しかし、肥満に関係があるわけではなく、もともとは見た目が膨らんでいて
細胞自体が肥満っぽいという理由から名付けられました。
なんだか、悪そうだとか、肥満だとか誤解をうけやすい可哀想なヤツですね。

マスト細胞は、細胞内に顆粒と呼ばれるものを持っており、その顆粒の中に
ヒスタミンなどの化学伝達物質を蓄えています。
花粉などの抗原とIgE抗体が結合すると、マスト細胞が活性化し、
顆粒の中の化学伝達物質が放出されます(脱顆粒反応といいます)。

もちろんマスト細胞はヒスタミンだけを放出しているわけではなく、
他の免疫細胞を呼び寄せる物質や、炎症を引き起こすサイトカインと
呼ばれる物質などの様々な化学物質を作って、体の免疫機能の一部を
担っています。

花粉症は、花粉と結合したIgE抗体がマスト細胞をバンバン活性化させている
過剰(異常)な事態となって起こっているんです。

最後に・・・

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ちょっと肥満でかわいそうなマスト細胞を描いてみました。
今度はまったく違ったイメージになったと思いませんか?

身体を守る免疫反応が、過剰になるとアレルギーになってしまうように
イラスト表現も過剰だと真意が伝わらない・・・。

「免疫」も「イラスト」も過ぎたるは及ばざるが如しということでしょうか・・・。

おしまい!!


2012年3月 9日 (金)

花粉シーズン突入!!

こんにちは。
トヨエモンです。

2月9日に花粉シーズン突入とのニュースが流れ、スギ花粉症の方には辛い季節です。
私は花粉症ではないのですが、小さな頃から慢性アレルギー性鼻炎のため、
年がら年中鼻をすすっています。
それでも、最近はだいぶ鼻水がおさまっているような気がします。
ただ、一年に数回、やけに鼻が通る日があるのですが、
逆に鼻がスースーして痛いくらいです。

さて、花粉症ですが、アレルギー症状の一つなのは、皆さんもご存知かと思います。
そして、アレルギー反応には免疫が大きく関わっていることが分かっています。
ただ、アレルギーや免疫って、本当に複雑で理解するのが難しいんです・・・。
そこで、そのメカニズムをイメージで書いてみました。

まず、身体の中に花粉が入ると、外からの「侵入者」が来たと身体が認識します。
すると、侵入者を倒す、もしくは排除するために、身体の免疫機能が働きます。

アレルギーにかかわる免疫反応の主役は、IgE抗体と呼ばれる抗体と
言われております。
抗体とは、その名のとおり侵入者に対抗(抵抗?)するもののことですが、
侵入者かどうかを見極めて捕まえる役割をしているというイメージの方が
分かりやすいかもしれません。
そして、Yの字の形をしています(下図)。

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なんだかバンザイをしているように見えませんか??? ╲(> _ <)/

IgE抗体は、鼻の穴の中でバンザイしながら花粉を待ち受けます。
決してよろこんでバンザイしている訳ではありません。
捕まえやすいように、両手を拡げているのです!!
そして、足はマスト細胞と呼ばれる細胞にくっついています。
(あくまでイメージとして捉えて下さい)

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ただ、花粉を捕まえただけでは、どうしようもありません。
かといって、IgE抗体だけでは、花粉を排除する力がありません。
そこで、IgE抗体は花粉を捕まえると、足でマスト細胞を蹴ります(刺激します)!!
(もちろんイメージです(笑))

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IgE抗体に蹴られて怒ったマスト細胞は、ヒスタミンやロイコトリエンなどの
化学伝達物質を吐き出します。
ヒスタミンって、かゆみの原因としてよく知られている物質ですね。
これらの化学物質が刺激となって、ヒトの身体はくしゃみや鼻水、涙などを出して、
花粉を外へ排除しようとするんです。

実際、これだけならば花粉を排除するための防御機能として重要ですが、
アレルギーはこの反応が過剰になり過ぎているのです。

では、どうして過剰になってしまうのでしょうか?
そして、乳酸菌とアレルギー改善の関連は??

(つづく)

※    しつこいようですが、イラストや説明文中の表現は
あくまでイメージです。
実際にIgE抗体がバンザイをしたり、
マスト細胞を蹴ったりしているわけではありません。