腸のはたらき

2014年5月30日 (金)

LGG菌とTJ②

こんにちは。

トヨエモンです。

 

さて、前回より腸管バリアシリーズのタイトル名を変えて、

LGG菌とTJシリーズとしました!!

気分一新と言いたいところですが、実はLGG菌の研究関連の記事を書いても

「難しくてよく解からない!」と、トヨエモンの周りの人達からはあまり評判が良くないです・・・(涙)。

 

前シリーズから何度も挫折しかけましたが、一応、このブログの立ち上げ理由が

“LGG菌の研究について解かりやすく説明しろ!”ということなので、めげずに続けてみます・・・。

正直、「そんなに解かりやすく説明できる研究がいっぱいあるなら

自分で論文読んだほうが早いよ!!」って愚痴りたいです・・・

というか、すでに言っちゃってますケド・・・(笑)

 

実際、自分の専門分野と少しでも離れた論文になると、一気に読むスピードが落ちます。

そして内容を理解するために、さらに他の文献を読んで・・・ということになり、

結局膨大な時間が必要になってしまうんです。

(単にトヨエモンの知識が少なすぎるだけという話もありますが・・・)

 

さて、気をとりなおして、元に戻します!!

 

まず、“TJとは何か?”とサラっといいますと、

タイトジャンクションのことです(Tight Junction、略してTJ)。

日本では“密接結合”とか“タイト結合”とも言われるようですが、

私は「密接結合!!」とか呼んでいる人を見たことはありません。

 

下は腸管バリアシリーズ①で紹介した図ですが、

右下にタイトジャンクションとありますね。


Barrier_small

 

隣り合う細胞同士がタイトに結合している部位なので、

タイトジャンクションと呼ばれています。

この部位で細胞と細胞の隙間を埋めることによって、

異物が体内に侵入するのを、「物理的」に防いでいるのです。

 

だいぶ愚痴が長くなってしまったおかげで疲れてしまったので

本日はこれまで(笑)

 

 

つづく。

2014年5月23日 (金)

LGG菌とTJ①

こんにちは。

トヨエモンです。

 

先日、群馬県東吾妻町にある“コニファーいわびつ”という宿泊施設に行ってきました☆

この施設、もともと東京都杉並区の施設だったそうです。

今は民営化されていますが、杉並区民の方は宿泊代が割引されます。

(トヨエモンには関係ありませんが・・・)

 

グラウンドやテニスコートなどのスポーツ施設もあるほか、

キャンプや体験学習などができるよう様々な設備が整っています。

また、震災の際は南相馬の被災者の方たち400名以上を受入れており、

館内にはそのときの様子が掲示されています。

お風呂もキレイで、なかなか良い施設でした!

 

さて、トヨエモンはこの施設の宣伝をしたいわけではありません・・・。

実は下の写真、コニファーいわびつで撮ったものですが、何だか分かりますか?

 

20140518_082048

・・・ただの壁です。

でも、トヨエモンには、このような模様が腸管上皮細胞に見えてしまうのです・・・。

もう病気です・・・。

 

下の写真は、Caco-2細胞というヒト由来の腸管上皮細胞を

蛍光顕微鏡で観察したものです。

緑の部分がとなり合う細胞同士の境界線です。

Tj_occuldin

似てると思いませんか?

 

トヨエモンが腸管上皮細胞を実験で扱い始めたのが約3年前。

それ以来、手の甲のシワ(?)や、ハチの巣、ステンドグラスのように、

幾何学模様が並んでいると、全部、腸管上皮細胞に見えてきます。

完全に病気です・・・。

 

というわけで、今回よりまたまた腸管バリアシリーズが再開です。

 

つづく。

2014年5月 4日 (日)

腸管バリアとLGG菌⑩

こんにちは。

トヨエモンです。

 

ついに10回目を迎えました!!(祝)

本当にいつまで続くのでしょうか・・・(苦笑)

 

さて、LGG菌の抗菌性は、どうやら一つの物質によるものではないということが

前回までの記事でお分かりいただけたのではないでしょうか?

世の中、たいていのことは一つの要因だけで片付かないのが普通だと思いますが、

一般的に、人は「一つの分かりやすい結果」を求めがちです。

ということで、今回はソレを紹介します。

 

この報告は、2009年に米国Luらのチームによって発表されたものです。

彼らは、LGG菌の培養液から2種類の抗菌性ペプチドを単離してきました。

※     ペプチド: アミノ酸が複数(大体2~数十個といわれています)つながったもの。

タンパク質はさらにアミノ酸が沢山つながった物質(ポリペプチド)です。

詳しく知りたい方はWikiってください(笑)!

 

その2種類ペプチドは、

① NPSRQERR(アスパラギン-プロリン-セリン-アルギニン-グルタミン-グルタミン酸-アルギニン-アルギニン)

② PDENK(プロリン-アスパラギン酸-グルタミン酸-アスパラギン-リシン)

というアミノ酸がつながったものでした。

 

この抗菌性ペプチドは、グラム陰性菌である大腸菌とサルモネラに対して大きな効果を示しました。一方でグラム陽性菌のブドウ球菌に対しての効果はあまり強くありません。

※ Lu et al. J Pediatr Gastroenterol Nutr (2009)

 

しかし、LGG菌の培養液中から、乳酸以外で「コレだ!!」という物質が分離されたことは、非常に大きなことです。

 

ここまでハッキリとした報告を紹介しておきながら、最後はもやっとさせますが、

いずれにしろLGG菌の抗菌性は一つの物質によるものではなく、乳酸やその他の酸、

さらに抗菌性ペプチドなどを産生し、様々な要因によって成り立っているのですね!

 

おしまい。

2014年4月28日 (月)

腸管バリアとLGG菌⑨

こんにちは。

トヨエモンです。

 

腸管バリアとLGG菌シリーズ、かなり長丁場となってきました。

正直飽きてきたので、タイトルを変えたいですね・・・^^;

 

前回はSilvaらが1987年にLGG菌の抗菌物質について報告したこと、

しかし、どんな物質か分からなかったこと、そして、抗菌ペプチドの一種

ミクロシンの様な物質なのではないか?ということを書きました。

 

一方でLGG菌が産生する乳酸が抗菌性に重要であると主張する報告もあります。

一般的に、乳酸菌が腸内の環境を整える役割を果たしているのは、乳酸を作り出し、

周囲の環境を酸性にすることによって、他の細菌が生育しにくい、もしくは

死んでしまうことに起因していると考えられています。

 

その一つに、ベルギーの研究チームDe Keersmaecker らの報告があります。

彼らはLGG菌の培養液を使って、サルモネラ菌の生育阻害・殺菌について実験をしました。

そして、乳酸が蓄積され、pHが低下することが、サルモネラ菌に対して最も効果があると

結論付けています。

※     De Keersmaecker et al. FEMS Microbiol Lett (2006)

 

ただ、乳酸による抗菌性は、乳酸菌全般に言えることで、トヨエモンとしては

イマイチ面白みを感じないのですが・・・

 

つづく。

2014年4月22日 (火)

腸管バリアとLGG菌⑧

こんにちは。

トヨエモンです。

 

さて、前回の腸管バリアとLGG菌⑥⑦では腸管粘膜免疫に対するLGG菌の効果を紹介いたしました。
といっても、かなり適当に流してしまいましたが・・・。

 

ところで、紹介し忘れていることがありました。
それは、第一の機能「他の細菌に対する働き」として、LGG菌が他の細菌を排除するための“抗菌物質”を分泌するということです。
腸管バリアとLGG菌⑤では、「他の細菌に対する働き」として他の細菌が腸管に付着するのを邪魔することを紹介しました。

今回より紹介するその機能は、その付着の阻害や置換、排除にも大きく関わっているものと考えられます。

 

LGG菌の抗菌物質についての報告は、1987年まで遡ります。
米国Silvaらの研究チームは、LGG菌を培養したその培養液が、大腸菌やサルモネラ菌、クロストリジウム菌などの生育を阻害することを発見しました。

その抗菌物質は、

・     pH 3~5の酸性領域で働く

・     熱に安定

・     プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)による分解に耐性

・     乳酸や酢酸より高い抗菌性

・     分子量1000未満の小さな物質

・     グラム陽性菌・陰性菌ともに効果を示す:グラム陽性に効果を示す抗菌物質バクテリオシンとも異なる活性

であったと報告されています。

これらの結果より、この抗菌物質はミクロシン(抗菌ペプチドの一種)のような物質ではないかと考えられました。

※ Silva et al. Antimicrob agents Chemoth (1987)より

 

しかし、この報告では、“LGG菌の抗菌物質”が単離・同定されたわけではなく、その後も「LGG菌の抗菌物質は何なのか?」という研究が続けられていきます。

 

つづく。

2014年4月14日 (月)

腸管バリアとLGG菌⑦

こんにちは。

トヨエモンです。

 

さて、今回は粘膜免疫とLGG菌との関係についての続きです。
前回は分泌型IgAの説明で力尽きてしまったので・・・(笑)

 

と思っていたら、LGGラボの方にすでに
LGG菌が分泌型IgAの産生量を増加させる」ことに
ついて書いてありますね・・・^^;
なので、ポイントだけサラッと書きます。

 

まず、LGG菌はパイエル板と呼ばれる小腸の免疫センターの中に
入りこむということです。
LGGラボから引用してきた下記の図2(右)に、白矢印で示した赤い点々が
見えるかと思いますが、これが赤い蛍光色素で染色されたLGG菌です。
この試験では、染色されたLGG菌をマウスに摂取させたあと、マウスを解剖し、
小腸を取り出して、パイエル板を蛍光顕微鏡で観察しています。

 

Peyer_iga

つまり、免疫センターであるパイエル板に入り込むということは、
腸管の免疫システムに何らかの影響を与えるということが予測できますね!

※ パイエル板については、「インフルエンザにご注意!!③」を
ご参照ください。

次に、LGG菌はパイエル板でのIgAの産生を増加させるということです。
LGG菌を投与したマウスを解剖し、小腸のパイエル板から細胞を
取り出して培養したところ、IgAの量が多かったというのが右側の図3です。

 

これらの試験データより、LGG菌は粘膜免疫系を高めることによって
腸管バリア機能を高めていることが考えられているわけです!!

 

つづく。

2014年4月10日 (木)

腸管バリアとLGG菌⑥

こんにちは。

トヨエモンです。

 

いつの間にか4月も十日が過ぎてしまい、会社の周りの桜は
だいぶ散ってしまいました。

さて、今回は腸管バリアとLGG菌シリーズの第6弾!!
だいぶ内容を忘れてしまった人もいらっしゃると思いますが、
②で紹介した3つの機能のうち、真ん中の“粘膜免疫系に対する働き”について
紹介していきたいと思います。

 

Ohland_small

腸管の上皮には、ムチンと呼ばれる粘液が常に分泌され
粘液層を形成していることはで紹介したとおりです。
この粘液層の中で働いている免疫システムが粘膜免疫と呼ばれるもので、
主に分泌型免疫グロブリンA(分泌型IgA)が活躍しています。


Barrier_small

 IgAは、以前「花粉シーズン突入!!」で紹介したIgEと
同じ免疫グロブリンと呼ばれる抗体の仲間ですが役割が異なります。
特に粘膜に分泌されるIgAは分泌型IgAと呼ばれ、
Y字をした抗体が二つ繋がった構造をしています(二量体)。

 

Siga

粘液層に異物が入ってくると、分泌型IgAがそれらを認識し結合します。
そして、粘液と共に体外へ排出されていくというわけです。

 

つづく。

2014年3月17日 (月)

腸管バリアとLGG菌⑤

こんにちは。
トヨエモンです。

さて、少し間があいてしまいましたが、
腸管バリアとLGG菌の続きです。

今回は、②で紹介した下記の図にある三種類のバリア機能のうち、
左の「他の菌への働き」について紹介します。

1

この働きは、病原菌が腸管上皮へ付着しないようにするわけですが、
ヒト試験で解明することは難しく、細胞や粘膜、動物組織をつかった
試験が行われてきました。

試験方法としては、
1) 先にプロバイオティクスを付着させたのち、病原菌を加えて付着するかどうか?をみる「阻害試験」
2) 先に病原菌を付着させたのち、プロバイオティクスを加えて、病原菌が取り除かれるかどうか?をみる「排除試験」
3) 同時にプロバイオティクスと病原菌を加えて、どれだけ病原菌の付着を妨害するかどうか?をみる「競合試験」
が、主に行われます。

LGG菌では、過去に同様の試験が多く行われきており、下図はその一つ試験結果を
図にまとめたものです。

20131207_yoda_takanashi_milk
※ Collado et al. Lett Appl Microbiol (2007)のデータを図にしました。

 
この試験では、ヒトの腸管ムチン(粘膜)を使用し、LGG菌と病原菌の付着に
ついて観察しています。

その結果、緑の四角内に挙げた菌種について、LGG菌は阻害・排除・競合の
いずれの効果も発揮しました。一方、黄色の四角内にある菌種については、
残念ながら上記の効果は見られませんでした。

この試験以外でも、Caco-2やHT29細胞のような腸管上皮細胞系を用いた試験、
動物由来の腸管上皮組織などを用いた試験が行われており、多少の結果の違いは
あれど、LGG菌が病原菌の腸管への付着を防ぐ効果をもつことが観察されています。

つづく。

2014年2月28日 (金)

腸管バリアとLGG菌(番外編:ナマコの巻)

こんにちは。
トヨエモンです。

前回、前々回とアカデミックな話ばかりだったので、
今回は箸休め・・・ということで番外編です。

実は、年明けに釣りに行ったのですが、
そのとき釣れた(引っかかった???)のが、コレ↓

20140119_112950
そう、ナマコです(笑)

どっちが口で、どっちが肛門か分かりませんが、
ちゃんと胃、小腸、大腸があるんだそうです。(知らなかった@。@!)

ナマコって海の中で触ると、変なウニョウニョしたものを吐き出します。
それがナマコの腸です。
ナマコは威嚇するために腸管を吐き出し、それを囮にして危険を回避します。
つまり、外敵から身を守るためのバリアとして・・・

・・・んっ!?
腸管バリア???
しかも、腸管自体を使ってしまうという腸(超)荒技!!(笑)

とっぽい姿をしておきながら、ものスゴイ大胆なヤツなんですね~。

ちなみに、腸は時間が経つと再生するんだそうです。

(※ 本来の腸管バリアとは全く意味が違うのでご注意ください!!)

結局、このナマコちゃんは荒技を見せてくれることはなく、
真っ赤に膨れて怒るばかりで(最初から赤でしたが・・・)
とても話ができる状態ではありませんでした。
なので、頭を冷やしてもらうためにも、冷たい海にお帰りいただきました。

※ ナマコは地元漁協による共同漁業権の対象となっている場合があります。

その日の夕方、スーパーで同じ位の赤ナマコが
海水の入ったビニルに生きたまま売られていました。
498円・・・。
意外にいい値段だったのでビックリ!
ヤケにナマコ酢が食べたくなったトヨエモンでした☆

おしまい。

 

2014年2月24日 (月)

腸管バリアとLGG菌④

こんにちは。
トヨエモンです。

前回は、LGG菌が腸管上皮細胞に付着する力が強いことを、おさらいさせて頂きましたが、
その付着性の強さは、以前LGG菌の毛①で紹介した、”ピリ(線毛)”が一つの要因だと
考えられています。

今回は、もう少し”ピリ”について見ていきたいと思います。

下の写真(左)が、LGG菌のピリを特殊な染色方法で染めて、電子顕微鏡で
撮影したものです。
そして、ピリを拡大してその構成を示したものが、右の図となります。

Photo_3※ 写真(左): Dr. A. Hendrikxs (Utrecht大学), Dr. M. Kankainen (Helsinki大学),
Prof. W. M. de Vos (Wageningen大学)のご好意により提供いただきました。
尚、論文はKankainen et al. PNAS (2009)をご参照ください。
※ 図(右): Reunanen et al. Appl Environ Microbiol (2012)より改変。


写真の紫色に染まっているのがLGG菌。そこから黒い粒つぶが見えるかと思いますが、
この粒つぶがピリを構成しているタンパク質の一つであるSpaCです。
右図のように、ピリはSpaA、SpaB、SpaCの三種類のタンパク質がつらなった構造を
しており、LGG菌の表層からビヨ~ンと外側に伸びています。

さて、このピリがなくなるとどうなるのでしょうか?

そうなんです。LGG菌の付着力が落ちてしますのです・・・。

今のところ、ピリを持つ乳酸菌として、論文にしっかりと紹介されているのは
LGG菌だけです。
(中国の乳酸菌であるL. paracasei Zhangにもピリがあることが学会で
紹介されていましたが、論文には出ていないようです。)

LGG菌の付着力の強さの秘密には、このピリの存在が大きいようです。

 

つづく。