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2021年9月

2021年9月30日 (木)

気になった論文②

こんにちは。

LGG菌サムライです。 

 

さて、前回の続きです(論文紹介)。

  

前回は、アルコール摂取後に生じるアセトアルデヒドと、その分解酵素ALDH2を紹介し、

ALDH2遺伝子には野生型と変異型があることを紹介しました。

そして、両親が野生型ALDH2遺伝子の場合は野生型ホモとなりアルコールに強く、

どちらかが野生型・変異型でそれぞれ受け継いでいるヘテロ型の場合と

両方変異型(変異型ホモ)の場合は、アルコールに弱いということを書きました。

  

この研究では、野生型もしくはヘテロ型の対象者にL. rhamnosus GG(150億個)を

含む発酵乳もしくは乳酸入り牛乳(プラセボ)を摂取させた後、ビール5杯を飲んでもらい、

その後の血中および唾液中のアセトアルデヒドの濃度を調査しています。

その結果、L. rhamnosus GG発酵乳を摂取すると、遺伝子型に関わらず、

血中および唾液中のアセトアルデヒド濃度が減少していた報告されています。

特に、ヘテロ型の対象者の方が、唾液中のアセトアルデヒドの減少が顕著だったことが

示されています。

  

アルコールに弱いヒトは、少量のアルコール摂取で顔面紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭痛などを

きたすことはご存じかと思います。

これは、アセトアルデヒド濃度が急激に上昇して起こるもので、フラッシング反応と呼ばれています。

この研究では、L. rhamnosus GG発酵乳の摂取が、フラッシングの継続時間も

有意に減少したと報告しています。

  

また、過去の研究ではL. rhamnosus GGは、in vitroの研究(※)で

アセトアルデヒドを分解することが報告されています。

今回のTrachoothamらの研究では、L. rhamnosus GG発酵乳摂取してから

3.5時間経ったあとでも口腔内に保持されていたことから、

唾液中のアセトアルデヒドの減少などにL. rhamnosus GGが影響していると

考えているようです。

※ Nosova et al. Alcohol Alcohol (2000)

  

アルコールは胃や小腸上部で吸収され、肝臓に行きます。

そして、アセトアルデヒドが生じます。

一方で、L. rhamnosus GGは体内に吸収されるわけではないので、

肝臓で生じたアセトアルデヒドに対してどのように作用するのか…?

色々と興味が湧いてきます。

 

ただ、肝臓に対するL. rhamnosus GGの効果は現在までに色々と研究されている他、

近年の腸内細菌叢研究の著しい発展は、腸肝軸(Gut-Liver Axis)に

新たな知見をもたらしています。

なので、今後、謎がどんどん解明されていくことを期待したいと思います。

  

尚、本記事はアルコール摂取を推奨するものではありません。

 

 

おしまい。

 

2021年9月28日 (火)

気になった論文①

こんにちは。

LGG菌サムライです。

 

さて、PubMedで「”lactobacillus” OR “lacticaseibacillus” AND “GG”」を

キーワードに検索すると、2021年9月27日現在で1,661件がヒットします。

そのうち、109件が2021年の論文です。

 

02

また、9月は4件の報告がありました(まだ増える可能性があります)。

その4件のうち、

『Intake of Lactobacillus rhamnosus GG (LGG) fermented milk before drinking alcohol

reduces acetaldehyde levels and duration of flushing in drinkers with wild-type and

heterozygous mutant ALDH2: a randomized, blinded crossover controlled trial』

というタイトルの論文が気になったので、紹介したいと思います。

※ Trachootham et al. Food Funct doi: 10.1039/d1fo01485d

 

日本語にすると、

『アルコールを飲む前にLactobacillus rhamnosus GG(LGG)発酵乳を摂取すると、

野生型およびヘテロ接合型変異ALDH2を持つ飲酒者におけるアセトアルデヒドレベルが減少し、

フラッシング反応の時間も減少する:無作為化盲検クロスオーバー対照試験』

という感じでしょうか。

 

ヒトがアルコールを摂取すると、肝臓で分解されてアセトアルデヒドになります。

アセトアルデヒドは毒性が強く、アルコール摂取後の様々な不調をきたす原因となる物質です。

このアセトアルデヒドを分解してくれるのが2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)という酵素です。

ALDH2遺伝子には変異があることが知られ、日本を含む東アジアのヒトでは、

この変異によって酵素の働きが弱いヒトが多くいます。

 

遺伝子は両親からそれぞれ受け継いでいますので、

1)両親共に野生型(正常型):野生型ホモ

2)どちらかの親が変異型:ヘテロ型(野生型と変異型両方をもつ)

3)両親共に変異型:変異型ホモ

の3パターンのヒトがいることになり、

ヘテロ型と変異型ホモのヒト達は酵素の働きが弱い、もしくは失われているために、

飲酒後にアセトアルデヒドの濃度が上昇し不調をきたすことになります。

 

この論文では、ALDH2遺伝子が野生型のヒトとヘテロ型のタイ人男性を対象に、

飲酒とL. rhamnosus GG発酵乳摂取の影響を調査した研究について報告しています。

 

  

つづく。