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2021年8月

2021年8月31日 (火)

ポストバイオティクスとは?④

こんにちは。

LGG菌サムライです。

 

前回の記事では、

L. rhamnosus GGの場合、プロバイオティクスとポストバイオティクスとして使用する場合には

効果が異なることが予測される”ということを書きました。

 

実際には、以前からL. rhamnosus GGの殺菌菌体を使用した研究が複数報告されています。

基本的に培養細胞もしくは動物試験レベルでの研究ですが、

生菌と死菌で作用が異なる場合、生菌と死菌で作用が同じ場合、

生菌で作用が確認される場合など、研究によって結果はまちまちという印象です。

  

スプレードライではpiliが消失してしまっていましたが、

piliが消失しないポストバイオティクスの製造法などがあれば、

それによって作用が変わってくる可能性があります。

そう考えると、上述の複数の研究でも殺菌法はそれぞれ異なりますし、

結果が様々でも当然と思えてきます。

事実、ISAPPの共同声明でも、製造法や安定性の確認など、

様々な注意すべき事項が記載されています。

  

いずれにしろ、

生菌とポストバイオティクスの効果が異なる可能性があるという観点から、

プロバイオティクスとして使用されていた微生物をポストバイオティクスとして使用するならば、

各々のポストバイオティクスを使用して試験を行い、

作用や機能性を確立することが重要となるのだと思います。

そして製造法(殺菌方法)によっても変わるというのであれば、

必ずその製品で効果を確立する必要がありますね。

ポストバイオティクスの世界も奥が深いです。

 

 

おしまい。

2021年8月27日 (金)

ポストバイオティクスとは?③

こんにちは。

LGG菌サムライです。

 

前々回からポストバイオティクスの定義について、

ISAPPが出している共同声明の内容を説明しています。

今回もその続きになります。

  

さて、この声明に関する文献の中で、

L. rhamnosus GGの線毛(pili)に関する記述と、電子顕微鏡写真があります。

この電子顕微鏡写真には、

スプレードライ(噴霧乾燥)する前と後のL. rhamnosus GGの姿が写っており、

スプレードライする前の生きた細胞では線状の構造物が確認されます(糸を引いたように見えます)。

一方で、スプレードライした後の細胞では同様の構造が確認できません。

 

この写真は、

https://www.nature.com/articles/s41575-021-00440-6

を訪問して頂ければご覧になれます)

また、下記論文で報告されたものを転載しているとのことなので、

こちらの論文も確認してみましたが、同じ写真であり、

やはりスプレードライによってpiliが消失すると記載されていました。

※ Kiekens, S. et al. Impact of spray- drying on the pili of Lactobacillus rhamnosus GG. Microb. Biotechnol. 12, 849–855 (2019).

 

Piliはこのブログでも度々出てきていますが、

L. rhamnosus GGが腸管上皮へ付着する際に重要な役割を果たしているほか、

宿主の免疫機構にも働きかけていると考えられています。

培養試験レベルでの結果ではありますが、piliの無いL. rhamnosus GGは、

腸管上皮細胞(Caco-2細胞)からの炎症マーカーIL-8の産生を増加させるほか、

細胞の増殖を抑えてしまうと、本声明に記述があります。

 

つまり、L. rhamnosus GGの場合は、

プロバイオティクスの状態(生菌)とポストバイオティクスの状態(死菌)では、

作用が異なってくることが予測できるわけです。

  

  

つづく。